糖尿病 ~循環器医の視点から~

糖尿病糖尿病は一度は耳にしたことがある方が多いのではないでしょうか?

国民健康・栄養調査によると、糖尿病が疑われる人が1000万人、糖尿病を患っている人が1000万人と、20歳以上の成人人口の約2割が糖尿病の可能性があると言われています。

糖尿病は痛くも痒くもありません。ですが、確実に水面下で体を蝕んでいきます。気付かないから放置してしまう。そして、気づいた時には遅いのです。

なぜ遅いのか?糖尿病は水面下で体の各臓器を蝕み、症状が出る頃には、その臓器は相当に傷んでいます。

糖尿病は微小血管障害と言われる、網膜症(失明、視野障害を起こす)、神経症(手足のしびれなどが続く)、腎症(腎不全から透析になる)、そして、大血管障害と言われる脳梗塞(麻痺が残る)、心筋梗塞(心不全となり息切れを起こす、突然の生命の危機)を引き起こします。

これらになってから糖尿病の治療をしても、もはや、痛めてしまった臓器は元には戻りません。

特に我々、心臓の分野では、国立循環器病センターのデータでは、狭心症・心筋梗塞で入院した患者さんの4人に3人は糖尿病(耐糖能異常)であったとのデータもあり、日々、そのような糖尿病によって心筋梗塞になってしまった患者さんを見ながら、こうなるもっと何年も前に糖尿病の治療をしていたら、この患者さんはきっと今頃、元気に過ごしていたのにと悔しい思いをすることも多々あります。

そのような患者さんを一人でも減らすためにも糖尿病の早期発見・早期治療に努めています。健康診断で糖尿病を指摘された時は放置せず、是非、早めに相談してください。