失神 ~短時間意識を失った後に元に戻る~

失神皆さんは、急に目の前が真っ暗になって倒れてしまった経験はないでしょうか?

失神とは、このように急に倒れてしまう短時間の意識消失のことで、その間の記憶は完全に途絶えていますが、数十秒間、長くても数分間で意識は完全に戻ります。

そして何事もなかったかのようにケロッとしています。これが失神です。そのため、本人もあまり重篤感はなく、病院を受診しない方もたくさんおられます。

もっとも身近に起こる失神は、神経調節性失神と呼ばれるもので、血が苦手な人が採血の時に血を見て倒れてしまうのが典型的です。

そのような失神は、一般的に良性の失神であり心配はありません。ですが、このような良性の失神と間違われやすい危険な失神もあります。

その代表が、心原性失神です。何らかの心臓疾患によって、一時的に脳への血流が低下して起こり、その原因となる心臓の病気によっては、突然死を起こすこともあります。

例えば不整脈。不整脈といっても様々な不整脈があり、失神の代表となるのは、徐脈性不整脈(脈が遅くなる不整脈)です。

これは、失神する場合は危険性も高く、その多くはペースメーカーを植え込まなくてはなりません。また、以前お話しした、狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患が隠れている時もあります。

また、弁膜症(大動脈弁狭窄症)が隠れていることもあります。これらの場合も、失神するような状態では重篤であり、早急に治療しなければ突然死の危険があります。

従って、もし、日常生活で、ほんの短時間でも倒れて意識を失ったようなことがあれば、たとえその後、元気であっても一度は精密検査を受けることをお勧めします。