急性大動脈解離 ~突然の胸背部痛~
今年は大雪となり、寒い季節が続いておりますが、皆様の体調はいかがでしょうか?さて、大雪が降ると除雪に関する事故が多数発生します。
その中で、循環器に関わる病気も発生しやすくなりますが、その代表的なものが急性大動脈解離です。
芸能人の加藤茶さんが患った事でも有名となりましたが、この疾患は突然、体の中心を走っている一番太い血管の大動脈の壁に亀裂が走り、裂けてしまう病気です。
その一番の原因が高血圧なのです。除雪をするとき、皆さんは踏ん張って息を止めて、雪をスコップで投げますよね?これが急に力を入れる無酸素運動であるため、この瞬間、急激に血圧が上がります。
普段から血圧が高い方は、この瞬間、血圧が200㎜Hg以上になる方も少なくありません。
血圧とはすなわち、血管の中にかかる圧力であるため、体の一番太い大動脈に大きな圧力がかかり、その瞬間、大動脈に亀裂が走ってしまうのです。
胸から背部にかけて、瞬間的に移動性の激痛が走り、痛みは持続します。
大動脈解離には2つのタイプがあり、心臓から出てすぐの上行大動脈に亀裂が走ると、A型解離といい、放置すれば48時間以内に50%近くの人が亡くなるため、緊急の大手術が必要となります。
背中から足まで走る下行大動脈に亀裂が走ると、B型解離といい、基本的には、血圧をぎりぎりまで下げ、入院絶対安静で傷口が安定するのを待つ治療となります。
急性大動脈解離は、ある日突然、太い血管が裂け、命の危機に直面する恐ろしい病気です。なってしまってからでは遅いのです。
ですから、高血圧の早期発見、しっかりとした血圧管理、治療が重要なのです。急性大動脈解離は当地のような寒い地域に多い疾患です。
皆様も是非、血圧を放置せず早めに相談してください。