エコノミークラス症候群 ~足の張り、浮腫、疼痛は危険なサイン~
今回は以前、話題になったエコノミークラス症候群(正式名称:肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症:以下、肺塞栓症と省略)に関してお話したいと思います。
肺塞栓症は、病名にもあるように、長時間の座位、臥床によって下肢の深部静脈に血栓が発生し、それが静脈を流れて飛んでいき、全身の静脈血流が集まる肺の血管で詰まってしまう病気です。
下肢にできる血栓は巨大血栓であることも多く、それが肺に詰まった場合、肺の血管の半分近くを閉塞してしまうこともあります。
すると、全身の血液は肺に戻れなくなり、血流が止まってしまい、ショック状態となって突然死することもあります。発症の代表的な例を示しましょう。
デスクワークで長時間座っていたり、ヨーロッパ旅行のように長距離フライトで長時間座っていると、下肢の血流が悪くなり、血栓が発生することがあります。すると足が腫れて痛む症状が出ます。
そして、歩き出した途端、下肢の血流が良くなり、足にできた血栓が流れて飛んでいき、肺で詰まってしまい、急激に呼吸苦、血圧低下、ショック状態となるのです。
危険因子として、喫煙、長時間安静、ピル内服、肥満、癌を患っている、などが挙げられます。
予防としては、長時間動かない状態を作らないようにこまめに下肢を動かすこと、そして長時間安静となるときは、『弾性ストッキング』という下肢を締め付けて静脈の流れを良くするストッキングを着用することなどをおすすめします。
もし、下肢の腫れ・痛み(通常片側のみ)、急に悪化した息切れ・胸痛などがあれば、肺塞栓のサインかも知れません。循環器科にご相談ください。