高血圧 ~正しい血圧測定を知る~
高血圧はありふれた疾患であり、健康診断などで指摘された方もたくさんいると思います。
ですが、血圧の正しい知識を持っている方は少ないのではないでしょうか?血圧の値には、心臓の収縮/拡張に合わせて、それぞれ収縮期血圧/拡張期血圧の2つがあり、120/80mmHgであった場合、収縮期血圧は120、拡張期血圧が80となります。
我が国における高血圧に起因する脳心血管病死亡者数は約10万人と推定され、特に収縮期血圧が関与する割合が高いと言われています。
血圧は正常な方でも、強い運動や精神的に興奮すれば180近くになることもあり、1日のうちで大きく変動しているため、測定するには適切な方法が必要です。
測定環境として、
- 静かで適当な室温の環境(特に寒さに注意)
- 原則として背もたれ付きの椅子に足を組まずに座って1-2分の安静の後に測定する(足を組むと下半身の血流が阻害され血圧は上昇します。)
- 会話をかわさない
- 測定前に喫煙、飲酒、カフェインの摂取をしない
- 血圧計のカフの位置は心臓の高さと同じにする
以上が適切環境です。
また、測定の条件として
- 朝起床後1時間以内であり
- 排尿は済ませてあり
- 朝食前、朝の内服の服用前であり
- 座位で1-2分安静にした後に測定する
事が必要です。そして、利き手と反対の手で測定し、1回の測定につき、原則2回測定、その平均値を採用します。
ただし、2回の測定した値の差が5mmHg以上ある場合は、再度、測り直してなるべく差がなくなるようになった2回の平均値を採用するのが正確な値となります。
このように、血圧は実は正確に測定するだけでもかなり大変です。白衣高血圧と言われるように、病院では上がってしまう方も多く、血圧の基準値も、家庭血圧は135/85mmHg以上、診察室では140/90mmHg以上を高血圧として扱います。
次回、高血圧の害についてお話しをさせて頂きます。